ボトルネック

ボトルネック

ボトルネック

懐かしくなんかない。爽やかでもない。
若さとは、かくも冷徹に痛ましい。
ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない。
青春ミステリの旗手、最新書き下ろし長編

読了後2・3日間、再起不能状態でした。
早稲田祭の講演会に行って来ました。のでこれサイン本(嬉!
「『さよなら妖精』は主人公の誤謬の物語」だと米澤さんが講演会中に言っていて、なるほど!と感心したので、サイン会のときにその話をしてみたら、「この『ボトルネック』も同じなんですよ」と返された。

そのつもりで読み始めたのに。
ボトルネック”の辞書的意味が説明された瞬間にその先の展開が見えてしまって、そこから後はずっと息苦しかった。最後には、思い過ごしでした!でまとまることを期待していたのに、全く救いがなかった。と、最初は思った。

主人公から見ると永遠に救いはない。だけど、例えば逆だったら?サキがリョウの世界に行って、リョウに会う。リョウのときほど悲惨ではないかもしれないけど、それなりに良いことがあって、それなりに悪いこともある。本当は誰でもそうなんじゃないかな?リョウの視点の一人称でなければリョウ=ボトルネックはそれほど説得力を持って成り立たなかったんだと思う。

これで、「この『ボトルネック』も同じなんですよ」の説明がつくかな?
何故メールを見て笑うのかは不明のままだけど。


それにしても読了後2・3日間、再起不能状態に陥った。ただバットエンドなのなら、そんなに落ち込むことではないけど、主人公の世界への視線とか鬱々とした雰囲気とか、全部が普段の自分に当てはまりすぎて。

落ち込みはしたけれど、自分の感情をここまで引きずられるような本に会えるのはとても幸せなことだな、と改めて実感した一冊でした。