妊娠カレンダー

妊娠カレンダー (文春文庫)

妊娠カレンダー (文春文庫)

出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ジミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。透きとおった悪夢のようにあざやかな三篇の小説。

博士の愛した数式』とはだいぶ違う小川洋子さん。詩的で不気味。静かで恐い。ピントが合わないカメラが森の木々を見上げるように映し出して、意識の遠くでざわざわしてるかんじ。普段本を読むとき、まったく情景をイメージしないのだけど、小川さんの小説は不思議と映像がまわる。映画みたい。