鬼に捧げる夜想曲

鬼に捧げる夜想曲

鬼に捧げる夜想曲

昭和21年。乙文明は、戦友の祝言のため大分の沖合に浮かぶ満月島に向かった。翌朝早く、急を告げる和尚。駆けつけた乙文は見たものは、惨たらしく朱に染まった花嫁花婿の姿であった…。第14回鮎川哲也賞受賞作。

コントラバスケースを使ったトリックにびっくりして、そのトリックをあっさり切り捨てたことに更にびっくり。おもしろかったけど同時に葛藤も・・・(↓以下反転↓)
コントラバスケース・・・ってハード!?めずらしい。今でこそチェロはハードケースが主流だけど、一昔前ならソフトケースだろう。コントラバスなら尚更。まあ、仮にコントラバスのハードケースがあったとしても、中で刃物を振り回せるほどは広くないような。見た目は人よりずいぶん大きい楽器だけどネックの部分は細いから、本体の部分に縮こまって入らなきゃいけないし・・・。でも実際はやってないから良いのか・・・?
犯人の変貌ぶりが嫌というより悲しかった。それまでは主人公とも気が合って、親としても人としてもすごく良い人として描かれていたのに。ミステリ好きとしては意外な展開でうれしいけれど、小説好きとしてはそうゆうところで裏切られたくはないと思う。(いや、裏切られて悲しいのではなくて、物語として悲しかったということ。)

そうゆう意味で倉知淳さんの本は安心して読める。『星降り山荘〜』でも作者が倉知さんである以上麻子は絶対犯人じゃない!と確信してた。同じ理由であかね先生が犯人だったら麻子が可哀相すぎるから、それもないな、と。(無茶苦茶だ)