なにもしてない

なにもしてない

なにもしてない

ナニモシテナイ幸福な私がなぜだか自分では気に入らないのだった。10年間ずっと私自身はナニカヲシテキタつもりでいたのだった。――生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の間を往還するモノローグの世界を描いた表題作に加えて「イセ市、ハルチ」の2編を収録する芥川賞作家の第1小説集。

「イセ市ハルチ」を思い出すにつれて心圧が増してゆく様子がえもいえぬ・・・。怖いというか何というか。端から見れば大したことじゃなくても、不器用な主人公は長年降り積もってきたものから逃げられずにただ押しつぶされていくしかない。そんなかんじなのかな。