ひとがた流し

ひとがた流し

ひとがた流し

かけがえのない友よ。そして、いとおしい時間たちよ。朝日新聞好評連載北村薫の心をゆさぶる最新長編小説。

直木賞該当作品なし。例年に比べて劣っていたわけではない、だ!?なら受賞作出せよと言いたい。本題に入るのが遅い、だ!?本題とかそうゆう小説じゃないだろうに。千波、牧子、美々の3人を中心にして、良秋さんに類さんに玲ちゃんにさきちゃんに、ひとりひとりの物語が重なり合ってできてる物語じゃないか。病気の話を書きたかったわけじゃない、ってあとがきにもあるし。


あたしの母校では3年生は全てを夏の体育祭に注ぎ込む。優勝が決まったときなんかに、ここはエンディングテーマが流れる場面か?とか、このまま受験成功したらそこまででひとつの物語だな、とか喜びながら頭の片隅で考えた。気が付くとそうゆう考え方をしてることがある。人それぞれが生きる時間を年表みたく短い線で表して、それが少しずつ重なりあっているのを想像する。一本ずつじゃなくて全体をひとつとして見たとき、世界とゆう物語はちゃんと美しいだろうか?
北村さんの書く世界は美しい。


伊坂幸太郎はまた正反対の書き方をする人だと思う。何人かの登場人物を取り出して、その中だけで物語を作る。現実にはあり得ないし、その中でしか通用しない閉鎖されて世界だけど、逆にその完璧さがかっこいい。


ああ、妙にスピリチュアルだ・・・。とにかく直木賞の結果には納得いかない。選考員に『月の砂漠をさばさばと』読んだ人いる?さきちゃんと牧子さんの物語を知ってるのと知らないのとでは感動の度合いが違うはず。『月の砂漠〜』ではくすっと笑った「さばの歌」に、『ひとがた流し』ではじーんとさせられる。そうゆう細かい心使いが良いのであって、単なるお涙頂戴小説などでは絶対ないのだ!